「呪怨は、実際に起きた出来事を参考に作られた」
このナレーションだけで100点。
幽霊は怖い。近づいて来たらもっと怖い。
『呪怨』の何が怖いかというと、幽霊がこっちに来るからだ。『リング』の貞子もこっちに来る。しかもテレビから出て来る。そりゃ真田広之もビビる。
何故、幽霊が近づいて来ると恐怖を感じるのか。「こっちに来る」ということは何らかの意思を持っているのだろう。しかし幽霊は何を考えているのかわからない。動き出した幽霊が自分に追いついた時、自分は一体どうなってしまうのか。その曖昧さに恐怖を感じるのだろうか。
いや、違う。「曖昧」なんかじゃない。幽霊に追いつかれたら自分は絶対に死ぬ。貞子や伽倻子が持つ「生きている人間を呪い殺す力」は関係なく、俺は怖すぎて勝手に死ぬ。
『回路』のこっちに来る幽霊。ヤバすぎ。
ホラー映画を観たり実話怪談本を読んだりして個人的に最も恐怖を感じる描写は「怪異が発生していたことに後から気づく」というものだ。『ダークスカイズ』という映画のオチがまさにそれで秀逸だった(突然のネタバレすんません)。
『呪怨:呪いの家』には「こっちに来る幽霊」に「後から気づく」という、俺からしたら地獄のような描写がある。この描写を初めて観たのは『奇談百景』の中の内藤瑛亮監督作品『続きをしよう』で、マジでショック死するかと思ったいい思い出だ。
これ以外にも『呪怨:呪いの家』にはおっかなびっくり描写がてんこ盛り。そしてとにかく話が厭すぎて作り手の殺る気を感じる。全6話、約3時間を夢中になって一気観できるので是非。