火炎レコード™️

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諸々の備忘録

のど自慢

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小林稔侍がヤバい演技をしている。
「表情を変えずに顔を変えた」と書けばあの数秒のカットに映っている異様な事態を端的に説明したことになるのだろうか。
俺の乏しい言語能力では、あの演技(というか顔)は「ヤバい」としか表現できない。
『のど自慢』における小林稔侍のヤバさは、『切腹』における三國連太郎のそれに非常に近しい(或いは同等の)ものであると信じる。
どういう演出をつければあの演技を引き出せるのか。もしくは小林稔侍は元々ああいう感じでパッとヤバさを出現させることのできる能力者なのか。そもそも脚本には何て書いてあるんだ。流石に「瞬く間にヤバさが出現する」というようなト書きではなかろうが、じゃあ、俺が観たアレは何なんだ!?脚本段階で意図したものなのか非常に気になる。

余りにも凄まじかったので小林稔侍の顔の事ばかり書いたが、本作の白眉といえばやはり室井滋だろう。
全く売れない演歌歌手・赤城麗子ではなく一般人・藤本鈴子として出場したのど自慢の舞台で、彼女は間違いなく本物の歌手になった。鐘が鳴った後、絞り出すように、しかし力強く言い放ったあの台詞には本当に感動した。
不良映画のイメージが強い井筒和幸作品群において最も人に勧めやすいと思うし、配給会社間で争奪戦が起こるのも納得の大傑作だった。